第二章 日本の菌類の多様性
菌類はいわゆる「カビ・きのこ・酵母」のことです。しかし、これらは菌類の「見た目」を言っただけで、生物学的な分類とはあまり関係ありません。糸状の細胞から成る単純な体制をもち、胞子で増えるのがカビ、菌糸が単純化して単細胞で芽を出すように増殖するのが酵母、逆に、菌糸がまとまって目に見えるようなある程度複雑な構造をとるようになったものがきのこです。現在、世界では約9万~10万種の菌類が知られていますが、実際に存在する菌類の種数はその10倍とも100倍とも言われています。一方、日本には1万種を超える菌類が知られています。世界で知られる数に比べると、多様な気候をもつ日本にしてはまだまだ少数と思われ、まだまだ新種や新産種などの未記載のものが多数存在しています。