南方熊楠 菌類図譜 ~その整然と混沌~
南方熊楠(1867~1941)は、自然史や民俗学など幅広い分野で資料を収集した人物で、日本における環境保護運動のきっかけをつくり、「エコロジー」という言葉を広めた人物としても知られています。熊楠は海外渡航から帰国した1901年以降、多数のきのこ標本を採集し、その標本で数千点の「南方熊楠菌類彩色図譜(以下菌類図譜)」を作成しました。菌類図譜は、熊楠の半生における行動や指向を知る上で貴重な資料であり、日記や他の資料と相互参照・利用するためにも国立科学博物館においてデジタルアーカイブ化が進められています。この電子展示では、多数ある菌類図譜の中から代表的なものを紹介し、熊楠が試みたきのこの多様性の理解を紹介します。